とてもわかりやすくまとめられている。
バブル期の売上(粗利)重視と、2000年以降の純利益重視の景況感を比較すると、接待交際費の影響が最も大きいんじゃないだろうか。
バブル期の「売上げを伸ばせ」(必然的に粗利が伸びる)の考え方は、「成長している」ことに重きを置いているので、接待交際費は取引先への「お礼」でもあり先行投資の1つでもあった。
だからとても弾けて(派手に)見える。
が、純利益重視になると、成長していなくても利益率が上がることがある。
極端だが例えば経営陣が給与を取らないことで純利益を上げることもでき、まさしく極限まで贅肉を削ぎ落としていっている状態。
そうなると下は運も寸もなく働くしかなくなる。
接待交際費はコストとしての印象が強くなり当然に削られる。
すると末端のサービス業に還元されない。飲食店やプレゼント(特に女性向け)に使われる品を販売する小売店などに恩恵がない。
飲食店でそこそこお金を使う人の大半は領収書(経費)であり、接待交際費なしでは「ただの人」になってしまう上司像が、若手の「10年後、20年後のオレはあんなカンジなのか」という具合に出世に対する期待を削いでいる。
要は「ただのサラリーマン」同士、年食ってるか否かくらいの差しかなくなってきていて、会社からは高級車が支給され、高級店で飲み食いし、出張時はビジネス・ファーストクラスに乗り高級ホテルに泊まるという経験もできず、言ってみれば飲み会のネタがない。今で言えばSNSにアップするネタがない。
そうなると「人生経験」みたいなものに対する値打ちが下がり、上司を尊敬しない(できない)若手が増え、出世意欲も薄れていく。
また時間当たりの生産性も見られるようになった。
要は「ヒマそうにしている時間」も徹底的に削られるので、大した用もない(日本人が好きな)「ご挨拶の電話」も仕事のうちだった時代と違って、勤務時間中はきっちり実働し続ける必要がある(事例は後述)。
すると当時よりもはるかに働いている気がするのに、使えるお金は少ないし、息抜きは(接待でなく)自分の時間(休日)でしなきゃいけなくなり、家庭との両立もより厳しくなったというのが現状だろう。
削られたコストが均等に還元されるとして、例えば全従業員の給料が5%づつ増えても、その5%で高級店で飲み食いもしなければ、旅行にも行かない。
だから景況感がない。
アレは無駄コレは無駄という時代になり、自分のお金だったら使わない・買わないというものが多く、より安いものに消費者が流れるようになる。
では安いものが増えるんだから消費者にとってイイ時代だと言えそうだが、多くの労働者はその安い物を作って売っている(或いはサービスを提供している)側でもある。
ECで言えば、2万円の品を1時間に3箱梱包して発送する仕事の場合、8時間労働で48万円の売上げ、梱包数は24個。22日勤務で1人当たり1,056万円/月売り上げる。
が、1,000円のものを20種類1箱に梱包し、同じ数だけ出荷するとなると、売上げも粗利も時間当たりの生産性も全く同じだったとしても、実働時間がまるで違う。場合によっては1時間に3箱梱包できないかもしれない。
※こうしてみると前者の方がヒマを持てあましているようだが、1人あたりの生産性は変わらない。
当然にミスも増え、それが能力給に反映されるようになると、精神的な負担も高まる。
※生産性は同じでも雇用数が増えると固定費(交通費とか)が増えるので、雇用側はますますコスト管理を厳しくする。
だから「割が合わない感」が増し、大変な思いをして稼いだ分、お金を使わなくなっていく。
そして「そんなにミスがダメならこういう反復作業は機械にやらせりゃイイんじゃないの」的な対立から自動販売機や自動改札機が生みだされ、アマゾンの倉庫のようにロボットが多くの仕事を担当するようになっていく。
その結果、人員削減できるので企業側の純利益はますます伸びていく。
一方労働者は、ロボットを導入する資金のない中小企業に押し出されていくため、そもそも給与水準が低かったり支払い自体が危うかったりし困窮する。
という点から、「贅肉を削ぎ落とす」という行為は堅実に見えるだけで、ある意味スーパーモデルのように「これ以上何もできない(することがない)」というギリギリの状態に追い込む行為だと私は思っている。
バッファー(あそび、ゆとり)がない状態。
「高価な物が売れない」とは労働者にとって過酷な社会環境だということだ。が残念ながら、その労働者が自分達の買えない物は「無駄」だと判定する傾向が強く、それが現在の景況感のなさ(純利益重視)の時代に結びついていると言える。
ということが株価や純利益が上がっているのに、景況感がない構造的な理由だろう。
「日本にカジノを」という動きは、このままではただ安い=重労働に傾きやすいので、ちょっとばかり海外の「お金回り」から学んでみようという流れだと考えられる。